オーストラリアで不当な低賃金で働く留学生アルバイトが大きな問題に

Tracey Peers - 水曜日, 8月 08, 2018

豪連邦政府の移民労働者特別委員会を率いるAllan Fels委員長は、オーストラリアの職場では、日本人学生を含む留学生に対する“組織的搾取”が広まっており、特にオーストラリアの職業教育コースで学ぶ留学生たちが被害を被っている状況を危惧しています。委員長によると、アルバイトをしている留学生の約1/3が、不当な低賃金で働かされているそうです。

Fels委員長は1995年から2003年まで、豪連邦政府からACCC(消費者監視団体の豪競争・消費者委員会)の委員長として任命、活躍されていた方で、同分野に関する豊富な経験をお持ちです。Fels委員長は現在、公式レポートを作成中とのことですが、MBA法律事務所は引き続き、この大事な問題の行方を追っていきたいと思います。Fels教授によると、留学生のそのほとんどが、雇用者による搾取の事実を認識しながら働いているが、そうした事実を声に出してはいけないと感じていることが明らかになっている、ということです。これは留学生搾取問題のハイライトの一つと言っていいでしょう。特に、経営者とそこで働く留学生の出身国がいっしょである場合、こうした搾取問題が起こりがちです。例えば、オーストラリアに移住した日本人レストラン経営者のもとで働く日本人留学生は、その経営者に不満を言い出しにくかったり、あるいは、オーストラリアでの労働者の権利をまったく気にすることなく、同国出身者の下で働いているということです。

留学生搾取問題は、それに直接的にかかわる雇用主と労働者間の問題にとどまらず、オーストラリア社会全体に影響を及ぼしていると言っていいでしょう。例えば、商的観点から見ると、正当な賃金(オーストラリアの最低賃金は比較的高い)を払ってスタッフを雇っていれば、低賃金で留学生を雇っている経営者に比べてより多くの経費が必要ですので、ビジネスの競争力は落ちてしまいます。つまり、正当な賃金で留学生を雇って彼らをサポートしている経営者が、不当にも、ビジネス的に不利な立場に追いやられてしまう、ということが起こりえます。

もう一つの懸念は、オーストラリアで好ましくない経験を味わった留学生たちが増えることで、オーストラリア教育産業が大きな打撃を受ける(他国との競争に負ける)のではないか、ということです。

オーストラリアは、日本をはじめ世界各国の人たちの留学先として人気の国であり、事実、近年、留学生数はかなりの勢いで伸びています。2013年6月の学生ビザ発給数は304,000でしたが、2018年6月は486,000まで増加しています。このように留学生の受け入れは、オーストラリア経済にとって、重要な位置を占めています。教育産業はオーストラリア輸出高の第三位、その額は320億豪ドルにも及びます。その一方で、かなり信頼のおける政府系の調査によって、不当な低賃金で働いているワーキングホリデーで来豪している若者が14万5千人もいるということが明らかになっています。これは、オーストラリアの教育産業にとって危惧すべき数字だと思います。オーストラリア留学を考えている人たちが、こうした事実を受けて、留学先をカナダやニュージーランド(留学生のパートタイム就労が認められている国)に変えてしまうかもしれません。

*** MBA法律事務所は、長年に渡って海外からのインターンシップを受け入れ(日本の学生をはじめ、カナダ、スウェーデン、アメリカからも)、オーストラリア留学をサポートしています ***